福岡高等裁判所 昭和26年(う)2685号・昭26年(う)2686号 判決
しかし窃盜罪は不正に領得する意思を以て他人所持の財物を自己の所持に移すことによつて成立するのであるから、窃盜罪の判示にあたつては、その財物が他人の所持にあることが判文上認められるときは、財物の所有者の点につき誤認があつてもその誤認はもとより判決に影響を及ぼすものということはできない。今記録につき原判決を調査すると、原判決は原判示第一、第二の各砂糖は松永勝次所有なる旨認定しているのであるが、その挙示の証拠によつてはその所有者が同人であることは到底これを認めることはできないけれども、原判示第一、第二事実をその挙示の証拠と対照すると、原判決は被告人が松永勝次所持にかゝる原判示の各砂糖を窃取したものであることを判示したものであることを認めるに難くはない。従つて、所論を以てしては原判決を破棄する事由とすることができないので論旨は理由はない。